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議会通信 vol.66 2016年 春号



 第1回定例会(2月18日~3月25日)が召集され、平成27年度補正予算案、ならびに平成28年度予算案のほか、条例の改正等45議案など、全112議案について審議しました。


 平成28年度予算
 ※( )内は前年度との比較

 一般会計予算は7,845億円(+0.3%)で、特別会計・企業会計と合わせ、総額1兆8,839億円(-1.3%)となりました。市税収入は2,795億円(+51億円)で過去最高の見込みで、市債残高についても着実に縮減していく計画。
 歳出については、社会保障関係費が増加している一方、こども育成費(+53億円)や保健福祉費(+62億円)の充実をはかっています。


平成28年10月診療分から、子どもの通院医療費の助成内容が変わります。
対象者が小学校6年生までに拡大し、3歳以上のお子様からは一部負担が発生します。

地域・コミュニティを育て
「人と資源が整う福岡(まち)」づくりが最優先!

代表質問[3月3日] 江藤 博美 (西区)

 二期目に入った高島市長は、昨年、天神一帯の高さ規制や容積率の緩和により大型再開発を促そうという“天神ビッグバン”構想を打ち出しました。今年は、ウォーターフロント地区再整備構想という、大型クルーズ船が二隻同時に接岸できる岸壁の整備や、大規模な国際会議やイベントの誘致が可能な施設ホテルを新たに整備するなど、博多港一帯の大規模整備事業を打ち上げました。
 アジアの拠点都市を目指す「圧倒的福岡時代」という大層な掛け声ですが、その事業費を市民・議会に明らかにしてもらわなければ、市民は評価さえもできません。生産年齢人口が確実に減少していく時代に入り、超・少子高齢化社会に対応できる地域社会・コミュニティの支援、福岡が持つ固有の資源の活用こそ優先施策ではないか。次代を担う人材育成システムを構築して福岡が持つ固有の資源を活用した「人と資源が整うまち福岡」という身の丈に合う自治体経営をめざすべきではないか・・と、市長に厳しく迫りました。

省エネ住宅助成制度の創設に大きく前進

補足質疑[3月7日] 栃木 義博 (早良区)

 昨年末パリで開催されたCOP21では、世界の気温上昇を2℃未満に抑え、今世紀後半の人間活動によるCO2など温室効果ガスの排出量をゼロにするため、わが国は2030年までに同ガスを2013年比26%削減で合意し、自治体も削減目標達成に向けた取組みが急務です。温暖化対策として、二重ガラス窓や壁などの断熱工法を採り入れた省エネ住宅改修への助成制度の創設を福岡市に要望。今回改めて市の考えを質したところ「省エネ住宅改修助成制度は効果的な施策であり、創設について検討していく」とする環境局長答弁を引き出し、同制度創設に向けて大きく前進させました。
 この他、土砂災害警戒区域内の指定避難所の代替として地域集会所を避難所に指定するとともに、家屋等補強のための補助制度について検討を要請。また渋滞で目に余るクルーズ船観光バスの駐車場を急ぎ市有地で整備するよう強く求めました。

市民の雇用環境改善、正規雇用の促進が最重要!

補足質疑[3月8日] 阿部 正剛 (東区)

 福岡市は、企業業績の改善や人口の増加等による市民税の増収を大きな要因として、3年連続で前年度を上回る予算案となりました。ただ、平成24年と平成26年との比較では、一社当りの法人市民税課税額10%増に対し、一人当りの特別徴収課税額(給与)は2%減となっており、企業の業績改善が市民生活にまで波及していない状況です。だからこそ、非正規雇用等の不安定な雇用環境の改善が重要だと強く訴え、立地交付金事業制度を見直し、市民の雇用創出、特に正規雇用の促進を図り、労働者の給与等の改善につなげていくという回答を得ました。
 また、外国からの来街者の増加や、2019年ラクビ―・ワールドカップ地区予選の開催をはじめとしたの国際大会を控えている中、市民の更なるマナーアップが求められています。障がい者専用駐車場の適正利用や受動喫煙対策をはじめとする喫煙マナーアップ、自転車マナーアップなど、積極的に取り組むよう要望しました。

福岡市のこどもの貧困実態調査に期待!!

総会質疑[3月18日] 太田 英二 (城南区)

 福岡市は人口も増え、市税収入も2年連続の過去最高額が見込まれており、間違いなく「元気なまち」だと感じます。しかし、税収が増えることにより地方交付税は減額され、財政状況が劇的に改善するわけではありません。実際に新たな施策に使える金額は、昨年比で約7.6億円の減となります。そんな中、平成28年度予算では、就学援助、こども医療費助成制度、地下鉄企画乗車券の見直しと、子育て世帯、中でもギリギリの状況にある世帯に負担をお願いする施策があります。一方、苦しい予算配分の中で「こどもの貧困に関する調査」を行う予定であり、この結果を待って、改めて負担をお願いしなければならない部分を見極めるべきだと考えます。本市は「人と環境と調和のとれたアジアのリーダー都市」の実現を標榜しながら、子育て世帯、その中でも貧困世帯やその寸前で努力している市民にとって非常に苦しい「NEXT FUKUOKA」が待っているように思えると警鐘を鳴らしました。

女性の健康寿命「72歳」を全国平均「74歳」へ

総会質疑[3月22日] 近藤 里美 (南区)

 直近の厚生労働省の公表によると、福岡市の男性は、健康寿命70.38歳、平均寿命79.84歳で、いずれもほぼ全国平均と同程度となっていますが、女性は健康寿命71.93歳、平均寿命86.71歳で、これは全国平均の健康寿命73.62歳、平均寿命86.30歳と比べると、健康寿命は2歳短く、健康ではない期間が約2年長く、政令市比較ではワースト2位となっています。超高齢化社会を見据えると、市の拠出も市民の負担も増加につながるため、この女性の健康ではない期間の問題は、早急に対応すべき重要な課題です。一方、なぜ全国平均よりも福岡市の女性の健康寿命が短く、しかも健康ではない期間が長いのか、その原因がはっきりとつかめていません。経済は回復基調にあり、人口も増え、「元気なまち福岡」と言われている中、真の意味での元気なまちになるために、早急に健康寿命の延伸に取り組む必要があります。特に、女性が弱点になっている原因を探り、しかるべき対策を講じるよう、強く要望しました。

市民の負担増に見合う成果を求める!

議案討論[3月25日] 田中 しんすけ(中央区)

 今議会に上程された平成28年度予算案、条例案、並びに関係諸議案に賛成する立場から討論を行いました。今回の予算案の特徴として、「広く市民の負担を和らげる一方で、新たな負担が生じる方もおられる」という点が挙げられます。
 市営地下鉄に係る企画乗車券の見直しについては、利用者によっては負担が増し、役務員の負担も増えるような状況が想定されるため、その運用については今後しっかりと検討するよう求めました。子どもの通院医療費の助成範囲が小学6年生まで拡大されることは一歩前進ですが、一部個人負担が発生する年齢もある点については、今後、助成額の見直しを検討する際には優先的に対応されるよう要望しました。また、福岡市動植物園の魅力向上が図られる一方で、入園料が400円から600円に改定されます。今後実施する予定の「動植物園の魅力アップ・賑わいアップ事業」をしっかりと進め、入園者の増加に向けた努力を求めました。